◆共通イメージのないプロダクトマネジメント
メルマガの告知から3ヶ月経った。この間、プロダクトマネジメントに対するイメージについていろいろな人の話を聞いたが、プロダクトマネジメントに対して共通的なイメージが少ないことが分かった。ある人はマーケティングマネジメントだといい、ある人は製品開発マネジメントだという。
製品開発というのは商品を企画し、商品化するという組織プロセスであるので、ある意味で分かりやすい。もちろん、これをプロダクトマネジメントだと考えている人もいる。また、製品計画を作ることをプロダクトマネジメントだと考えている人もいる。
◆業界による違い
業界によっても捉え方は異なるようだ。例えば、家電メーカではコンセプトワーク(コンセプトプロポーザル、マーケティング計画など)から企画の時期がプロダクトマネジメントだという認識が強いようだし、製品エンジニアリングや販売まで一人のマネジャーがアカウンタビリティ(事業責任者に対する責任)とレスポンシビリティ(実行責任)を持つということはやっていない。フェーズごとに分担し、各フェーズの責任者(通常はプロジェクトマネジャー)がアカウンタビリティを分担することが多い。
これに対して、自動車業界では、藤本先生たちが、日本企業の競争優位源泉だと指摘している重量級プロダクトマネジャー(重量級プロジェクトマネジャー)という制度がある。この制度は基本的にはコンセプトプロポーザルから開発後のマーケティングにまでをプロダクトマネジメントの範囲とし、1人のプロダクトマネジャーがレスポンシビリティを持つ。
余談になるが、欧米の企業は強力なプロダクトマネジャーがいて、製品のすべてを仕切るというイメージがあるが、自動車業界はそうなっていない。欧米の自動車メーカでは、プロダクトマネジャーは商品企画以降に強い権限を持つ。とくに、日本と異なるのは、サプライヤーの選定や、詳細設計などの製品エンジニアリングに対して強い権限を持ち、技術的側面が中心になっていることだ。
◆リンダ・ゴーチェルの定義
おそらく、この議論は何が正解という類の議論ではないと思われる。どのようなプロダクトマネジメントが必要かは製品の特性によっても異なるだろう。現に、自動車と家電では上に述べたように異なっているし、日雑や食品のようにそもそもプロダクトマネジメントという考え方はなく、同じ役割をブランドマネジメントで果たしているような製品もある。
最近、第3版でやっと邦訳が出た欧米でプロダクトマネジメントの定番テキストになっている「The Product Manager's Handbook」の著者リンダ・ゴーチェルはプロダクトマネジメントを以下のように定義している。
計画、予測、マーケティングなどを含む包括的な職務である
これに対して製品マネジメントは
新商品の企画、商品化をするという企業のプロセス
だとしている。
リンダ・ゴーチェル「プロダクトマネジャーの教科書」、翔泳社(2006)
http://people.weblogs.jp/books/2006/12/post_675c.html
◆このメルマガでの定義
このメルマガでは、ゴーチェルの定義を採用し、プロセスではなく、包括的な職務だとする。職務のスコープとして、メルマガコンセプトに示しているように
・マーケティングプラニング
・バリュープラニング
・プログラム&ポートフォリオマネジメント
の3つにしようと思う。この3つでも十分に、包括的だが、ゴーチェルの定義をそのまま考えると、事業組織の中で行っているすべての仕事がプロダクトマネジメントだとなりかねないからだ(それはある意味で正しいと思うが)。
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