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「ピーターの法則」という有名な法則がある。
「人々はあるヒエラルキーのなかで、昇進していくうちに、いつか無能レベルに到達する傾向がある」
という簡単な法則。
プロジェクトにあてはめて考えてみよう。
エンジニアとして非常に優秀であるものは、いずれプロジェクトマネジャーになる。そして、プロジェクトマネジャーとして優秀なものは、マネジャーに昇進していく。マネジャーとして優秀なものはシニアマネジャーに昇進する。
一人の社員のキャリアをみれば、プロジェクトマネジャーとして無能であれば、マネジャーに昇進することはなく、プロジェクトマネジャーで昇進が止まる。マネジャーに昇進したものがマネジャーとして無能であればマネジャーで昇進が止まる。シニアマネジャーに昇進したものが無能であればシニアマネジャーで昇進は止まる。
結果として、プロジェクトマネジャー以上の役職には、無能な人材が多くなる。
エンジニアの中でプロジェクトマネジャーになるのが80%、プロジェクトマネジャーの中で課長級になるのが40%、課長級の中で部長級になるのが30%とすれば、プロジェクトマネジャーの60%は無能なままにプロジェクトマネジャーを繰り返し担当することになる。プロジェクトスポンサーは課長だとすると、プロジェクトスポンサーの70%は無能なままにプロジェクトスポンサーを行うことになる。
ピーターの法則の生みの親であるローレンス・ピーターは風刺として書いていると述べているが、たくさんの優秀なエンジニアを抱えた組織にほとんど優秀なマネジャーがうまれないという現実を見ると、あながち的外れとはいえない。
もちろん、組織としてもこれに対して無対策ではない。ひとつはプロジェクトマネジャーのキャリア認定制度である。有能なプロジェクトマネジャーはプロジェクトマネジャーを卒業していくという事態を防ぐために、課長級のプロマネ、部長級のプロマネなどのキャリアを準備している。役員待遇のプロマネがいるような組織もある。
この制度が有効なのは優秀なプロジェクトマネジャーの確保ができるだけでなく、優秀なプロジェクトスポンサーを確保することもできることだ。課長級や部長級のプロマネはプロジェクトスポンサー的な役割を自身で果たすこともでき、無能なプロジェクトスポンサーによりプロジェクトがピンチに陥るのを避けることができる。
また、プロジェクトスポンサーについても、優秀なマネジャーのみに集中して行わせるようにしている。これもピーターの法則回避への対策だろう。
さらに、これはある大手企業で事業部長から実際に聞いた話だが、重要なプロジェクトについては、優秀なプロジェクトスポンサーと無能なプロジェクトマネジャー、あるいは、無能はプロジェクトスポンサーと有能なプロジェクトマネジャーの組み合わせと意図してやっているという。本当は有能タッグを組ませたいのだが、そこまで人材育成ができていないという。
プロジェクトスポンサーもプロジェクトマネジャーも、優秀であるという前提でものごとを考えてみても仕方ないということだけはいえそうだ。
では、どうすればよいのか?本を読んでみてほしい。
「ピーターの法則」、ダイヤモンド社(2003)
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