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◆PMstyleリスクマネジメント成熟モデル
PMstyleでは、プロジェクトリスクマネジメントの5段階というモデル(PMstyleリスクマネジメント成熟度モデル)を開発し、活用しています。以下のようなモデルです。
【レベル1】場当たり
プロジェクトマネジャーが気づいた範囲でリスク対策を立てている
【レベル2】体系化
プロジェクトマネジャーがプロジェクトリスクマネジメントの手法を導入して、リスクマネジメントを行っている
レベル3:標準化
組織としてリスクマネジメント標準手法や標準リスク事象を導入し、プロジェクトマネジャーやリスクオーナーとなるメンバーが標準に則り、リスクマネジメントを行っている。
【レベル4】定着化
組織としてリスクマネジメントに取り組み、個別プロジェクトにおける失敗の経験などが標準リスク事象として反映されている
【レベル5】インテリジェンス化
プロジェクトマネジャーやリスクオーナーのリスクマインドが醸成され、リスクに対する効率的かつ、効果的な管理に向けた継続的な改善が行われている
◆リスクマネジメントのゴールは?
リスクマネジメントはプロジェクトマネジメントの中でも早くから取り組みが開始されてきた領域で、定着化に至っている組織は少なくありません。一方で、「リスクマネジメントの仕組みが重い」という意見を耳にすることも少なくありません。実際に、定着化してきた状態で「改善」として行っている施策はより仕組みを精緻化する方向のものが多いのも事実です。
そもそも、リスクマネジメントのゴールは何なのでしょうか?プロジェクトからリスクをなくして、プロジェクトを安心して実施していけることなのでしょうか?
現実にはルーティンに近い仕事をプロジェクトでやっているケースも多いので、「そうではありません」というのは乱暴すぎるかもしれません。ただ、リスクがあるからプロジェクトであり、プロジェクトでしか実現できないのでプロジェクトを実施しているプロジェクトは決して少なくないのも事実です。
つまり、リスクマネジメントの最終的な目的は、このようなプロジェクトにおいて「リスクをとりながら、プロジェクトの目的や目標を達成できる」ことです。それがレベル5です。
◆リスクマネジメントのゴール達成のための2つのポイント
このようなリスクマネジメントの最終目的を達成するには、2つのポイントがあります。一つはリスクマネジメントを効率的であり、効果的なものにすることです。残念ながら、上で触れましたように、定着化したのちの改善の方向性が、非効率になっているケースが多いのです。まず、改善の方向性を見直す必要があります。如何にすれば、リスクマネジメントが効果的になるか。PMBOKなどが示しているプロアクティブリスクマネジメントという考え方に反する部分もありますが、受容できるリスクを増やすというのは一つの方向性だと思われます。
ただし、受容するリスクを増やしてしまうと、プロジェクトの失敗が増えるという心配があります。そこで出てくるのがリスクマインドです。プロジェクトマネジャーやリーダーだけではなく、メンバーの一人一人がリスクに強くなることです。これが重要です。
◆リスクインテリジェンス
PMstyleリスクマネジメント成熟度モデルでは、これをインテリジェンス化と呼んでいます。
インテリジェンスはもともとは、軍事用語で、軍事や政治的な価値を有する、集められた情報をインテリジェンスと呼びます。辞書を引くと、一般用語としては、知識・技術を獲得し適応する能力、そうした能力を持つ人とあります。
ビジネスでは、ビジネスインテリジェンスという言葉がよく使われるようになってきました。BIと呼ばれますが、これはビジネス上の価値を引き出すことを目的に、業務で蓄積されたさまざまなデータを収集して分析し、誰もが均質の意志決定を行うことのできるような仕組みのことを言います。
インフォーメーションが知識であるとすれば、インテリジェンスというのは知恵・知見です。知恵というのは、判断・行動のために必要な知識です。
ここで重要なことは知識は共有できるが、知恵は共有できないということです。ある知識をどのように解釈し、どのような知恵に変えていくかは、その人のキャリアや思想、スキルに依存するからです。したがって、プロジェクトにどのようなリスクがあるかを共有し、それに対してプロジェクトマネジャーはプロジェクトマネジャーなりに、メンバーはメンバーなりに、いろいろな経験を通じて、知識を精製し、どのようなリスクに対処する知恵を身につけていきます。これがインテリジェンスです。
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