【プロジェティスタ養成講座】第２話 ビジョンのチカラ

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「プロジェティスタへの旅」
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◆はじめに

前回はプロジェティスタの６つの活動

（１）ビジョンを掲げ、プロジェクトを立ち上げる
（２）価値創造のシナリオを作る
（３）社内外の人々を巻き込む
（４）チームを動かし、問題を解決する
（５）イシューの管理
（６）無理難題への対処

の概要について述べました。今回から、それぞれについて、つらつらと、考えていき
たいと思います。とりあえず、ビジョンから。

◆「東京通信工業株式会社設立趣意書」に書かれたビジョン

真面目ナル技術者ノ技能ヲ、最高度ニ発揮セシムベキ自由豁達ニシテ愉快ナル理想工場ノ建設

この文章をご存じでしょうか？

これは、１９４６年に、ソニーの創業者のひとり、井深 大氏（いぶか　まさる：ファウンダー・最高相談役）が起草した「東京通信工業株式会社設立趣意書」にある一文であり、井深 大氏の考えるソニーのビジョンです。ソニーのホームページに掲載されています。

設立趣意書
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/CorporateInfo/History/prospectus.html

設立趣意書には以下のように記されています（ホームページより抜粋）

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これは、技術者たちが技術することに深い喜びを感じ、その社会的使命を自覚して思いきり働ける安定した職場をこしらえるのが第一の目的であった。
（中略）
これらの人たちが真に人格的に結合し、堅き協同精神をもって、思う存分、技術・能力を発揮できるような状態に置くことができたら、たとえその人員はわずかで、その施設は乏しくとも、その運営はいかに楽しきものであり、その成果はいかに大であるかを考え、この理想を実現できる構想を種々心の中に描いてきた。
=====

このビジョンのもとに、ソニーはまさに技術者が技術をすることに深い喜びを感じるような商品を続々と世の中に出し、世界的な企業に成長していきます。まさに、ジョブズが率いるアップルのような存在だったわけです。


◆ビジョンのチカラ

ソニーという会社はビジョンの持つチカラを顕著に示している会社の一つだと思います。あまり語られませんが、アップルの最大の成功要因は利益を追求したことだと思われます。利益を追求するとビジョナリーな経営がしやすいのです（結果として売り上げも膨大なものになっている）。

アップルの商品は、カテゴリーではＰＣと周辺機器、モバイル、ソフトウェア、コンテンツです。見事にシナジーが働く事業構成になっています。ビジョンというよりは、デザインの会社だと言えます。

ソニーは売り上げを追求しました。ＡＶ、家電、コンテンツ、ＰＣ、ビデオ、メディア、ゲーム、モバイル、コンテンツなど、非常に広い分野の商品を手掛けています。それもプロフェッショナル仕様のものから、コンシューマまで、非常に幅広く手掛けています。成功したものも失敗したものもありますが、一貫しているのは、技術的に非常に興味深いものだということです。コンシューマ商品だけを見ていても、ソニーの商品でどこでも作れるなという新商品はありません。さまざまなところに工夫があります。ウォークマンはいうまでもありませんが、たとえば、いま、何かと話題になっているテレビでも、ブラウン管の時代の映像作りにはファンをうならせるものがありました。

技術者が技術をすることに深い喜びを感じた商品であり、これがビジョンの持つチカラです。


◆プロジェティスタにとってのビジョン

プロジェティスタは、ビジョンで人を動かします。いわば、ビジョンはプロジェティスタの生命線だと言えます。

プロジェティスタの語るビジョンは、周囲のものを惹きつけ、鼓舞するようなビジョンでなくてはなりません。

一つ、例を挙げてみます。

紹介するのは、ヤマハの光るギター「EZ-EG」の開発物語です。この商品の開発は、大きな話題になったので、ご存知の方も多いと思います。インターネットでアイディアを公募し、それを実現する形で開発された商品はモニタ販売で５０台を２４時間で完売。さらに、追加のモニタ販売は１００台を準備したところ、１３００人の応募がありました。その後、正式に商品化され、１番品を２年間で２万台売り、大成功を収めた商品です。

さて、この商品を開発したのは、旭保彦さん（開発当時４２歳）です。旭さんは「EZ-EG」の開発経緯について以下のように述べています。

昔、学生のころ、カッコつけたい、モテたいの一心でギターを始めたものの、Ｆコードが押さえられずに挫折したお父さん世代。また、始めてみたいけど練習するのが大変・・・でも、もう一度カッコよく弾きたい。その思いの一点集中で作りました。要は自分がターゲットだったのです」（野中郁次郎、勝見明「イノベーションの本質～個のコミットメントを高める」より）

このビジョンもメッセージ性の強いビジョンで、この後の様々な苦難を乗り越える源泉になっています。井深氏のようなビジョンもあれば、こういう個人的な想いにも基づくビジョンもあります。

次回はどうすれば、そのようなビジョンが作れるかについて考えてみましょう。


◆プロジェティスタ養成講座　オンサイト

このような活動を、ゲームストーミングの手法を中心にし、実践する方法を解説し、体験して戴きます。

━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆プロジェティスタ養成講座        ◆7PDU's
日時：（東京）2012年7月27日（金）　 10:00-18:00（9:40受付開始）
（大阪）2012年7月24日（火）　 10:00-18:00（9:40受付開始）
場所：（東京）ヴィラフォンテーヌ汐留（東京都港区）
（大阪）大阪産業創造館（大阪市中央区）
講師：好川哲人（プロジェクトマネジメントオフィス）
詳細・お申込　http://www.pmstyle.biz/smn/projetistaX.htm
主催　プロジェクトマネジメントオフィス
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【カリキュラム】
１．プロジェティスタとは
２．ビジョンを掲げ、プロジェクトを立ち上げる
３．価値創造のシナリオを作る
４．社内外の人々を巻き込む
５．チームを動かし、問題を解決する
６．イシューの管理
７．無理難題への対処
８．まとめ～プロジェティスタへのロードマップ
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