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珍しく、まじめなネタ。facebookで一度殴り書きをして、整理して書きなおした。比較して貰うと、好川の思考プロセスが分かると思う。
【プロデューサーの走り書き(18)】品質は絶対か
◆品質はトレードオフの対象なのか?
プロジェクトマネジメントは問題解決の連続である。もう少し正確にいえば、トレードオフの連続である。トレードオフが発生する理由は明確で、プロジェクトには予算や納期、リソースなど、さまざまな制約があるためだ。制約条件の中で、如何に主要ステークホルダ(顧客)の満足を最大化するかでプロジェクトのマネジメントの優劣が決まる。
この際に問題になるのが、品質の問題である。
プロジェクトマネジメントの方針を決める際に、品質絶対という価値観の是非が問題になることがある。品質は絶対なのか、それとも、スケジュールやコストとのトレードオフになるのか。この点が問題になる。
モノ作りの発想からすれば、品質は絶対である。いくら優れたものを提供しようとも、品質が悪ければ顧客(ユーザ)の満足は得られないと考える。この議論がややこしいのは、品質がどのように競争優位に影響を与えるかである。
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◆「アクションを重視するプロジェクトマネジメント」
PMstyleでは、PMBOKに代表される現場業務のオペレーションマネジメントをPM1.0とし、経営戦略に基づき、組織の戦略オペレーションのマネジメントをPM2.0と定義している。
PMstyleの第8期のプログラムで、カテゴリーに「PM3.0」というカテゴリーを加えた。意味するところは、「アクションを重視するプロジェクトマネジメント」である。
PMstyleでは、昨年度まで、「計画を重視しない」という言葉を使っていた。カテゴリー化するにあたって、この言葉は誤解を招くなと思い、IPAがアジャイルの契約形態をまとめる際に使っている「非ウォーターフォール型」使おうかとも思ったが、ウォーターフォールという言葉は、日本語ではソフトウエアプロセスを連想させるので、「アクションを重視する」にしたという経緯がある。
プロジェクトが戦略実行の手段であるという認識は、かなり定着してきたように思うが、ここで戦略と言っているものは何かというのはなんだろうか?
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◆新しい管理職のあり方
慶應大学大学院の教授、高橋俊介さんが、新しい管理職のあり方という提言をしている。それは、中堅(45歳くらい)を迎えるプロフェッショナルに、管理職と同じ権限を与え、その活動を支援する。そして、必要に応じて、管理職の役割を分解して、負わせる。たとえば、若手の指導育成の役割を求める。一方で、管理職の仕事の中で、メンタルヘルス、コンプライアンス、ダイバーシティ、キャリア支援などについては、社内プロフェッショナルに任せるといったものだ。(「プロフェッショナルの働き方」、PHP出版、2012)
そして、組織としてみれば、意欲のある中堅社員に権限を与え、プロフェッショナルに育てていくマネジャーの存在。この2つが両輪となると指摘する。
このモデルは、まさに(組織的)プロジェクトマネジメントのあるべき姿を示している。マネジャーはプロジェクトスポンサー。プロフェッショナルなプレイングマネジャーがプロジェクトマネジャーである。
続きを読む "【戦略ノート282】プレイングマネジャーとしてのプロジェクトマネジャー" »
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◆アージリスのダブルループ学習
クリス・アージリスという学者がいる。教育学者であり、かつ、ハーバードビジネススクールで教鞭をとっていた。人の学習や、それを可能にする組織にあり方についてさまざまな成果を残している。
ほとんどの人が、アージリスの名前を最初に知るのは、ダブルループ学習ではないかと思う。ダブルループ学習は、学習するには、方法する仕方も学ばなければならないという指摘をしたものだ。アージリスの指摘は組織学習に関するものだが、金井壽宏先生はアージリスのダブルループ学習は個人にもあてはまると指摘されている。
続きを読む "【戦略ノート281】続・未来志向のプロジェクトマネジメント" »
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◆アカウンタビリティとレスポンシビリティ
われわれが(プロジェクト)マネジメントの仕組みづくりコンサルティングを行う際に、徹底的にこだわっていることがある。それは、マネジャーや経営スタッフのプロジェクトチームやプロジェクトリーダー、プロジェクトメンバーに対するアカウンタビリティである。
アカウンタビリティ。説明責任という訳が一般的だが、業績責任の方がしっくりくるので、日本語で表記するときには業績責任という言葉を使っている。これだけの説明では漠然としているので、ちょっとだけ説明しておくと、プロジェクトに必要な責任には、レスポンシビリティとアカウンタビリティがある。レスポンシビリティは、チームメンバーの実行責任の意味で、RAM(Responsibility Assignment Matrix)で定義される。これに対して、アカウンタビリティはプロジェクトに設定した目標、あるいは、プロジェクトに課せられた目的を達成する責任である。詳しくは、戦略ノート131を読んで欲しい。
戦略ノート131
レスポンシビリティとアカウンタビリティ
続きを読む "【戦略ノート280】アカウンタビリティを逆転させる" »
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◆プロジェクトマネジメントは未来志向
最近、「フューチャーセンター」のマイブームで、未来志向という言葉が頭から離れない。未来志向とは、未来に目標を定め向かうことである。プロジェクトマネジメントは、この20年くらいの間に、すごい発展をし、一つの完成形に近づきつつあるように思う。
そんなことを少しずつ、考えてみたいと思う。
まず、最初に明確にしておきたいのは、本来、プロジェクトマネジメントは未来志向である。数か月から数年の未来に目標を定めて、実現していくのがプロジェクトであり、その活動をスムーズに進めていくためにプロジェクトマネジメントがある。その意味で、未来志向の活動に他ならない。
ただ、考えてみたいといっているのはこのことではない。プロジェクトマネジメント自体が未来においてどのようになっていたいかだ。たとえば、5年先、10年先にどうなっていたいのか?
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◆「Right Risk」
プロジェクトリスクマネジメントの考え方は、当たり前だがプロジェクトを前提にしている。プロジェクトの制約が厳しくなり、また、創造性が求められるようになってきた今、好む、好まざるにかかわらず、リスクを取らざるを得なくなってきている。
「Right Risk」という言葉がある。(正しい)ゴールを達成するために、取ることが妥当なリスクのことだ。少なくとも、「Right Risk」は取らざるを得ない。
そこで、リスクマネジメントを組織で行うべきだという話が出てくる。これは何を意味するのだろうか?
よく行われているのは、プロジェクトの立ち上げや、計画の時に、プロジェクトだけではなく、上位組織も知恵をだし、リスクを評価し、対策を考えることである。これは、視点の多様性ができるという意味で、確かに有効な方法であり、実際に効果も出ている。
あるいは、リスクマネジメントを知識化し、リスクチェックリストや、リスク兆候の知識化、リスク対応策のナレッジベースの構築などを作る取り組みをしている組織もある。知識化は、リスクマネジメントへの効用だけではなく、教育という面でも効果があるよい取組である。
これらは、プロジェクトリスクマネジメントに対する組織としての取り組みとして位置付けられる。
続きを読む "【戦略ノート278】スマート・リスクマネジメント" »
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◆チェックリストは網羅的に作るものではない
チェックリストは誰でも知っているツールである。しかし、実体は意外と理解されていないのではないかと思う。たとえば、プロジェクトマネジメントの中でもっともチェックリストが使われているのはリスクマネジメント(リスクチェックリスト)だろう。多くの企業がリスクチェックリストを使って、リスクマネジメント計画を作っている。
では、リスクチェックリストをどのように作っているかというと、結構、考え方の違いがある。多いのは、網羅的に作るという方法である。とにかく、チェックリストをみれば考えられるすべてのリスクの有無が判断できるという狙いだ。その対極にあるのが、少数派ではあるが、必要最小限押さえておいてほしいリスクだけをチェックリスト化する。
リスクマネジメントとしてどちらがよいかではなく、チェックリストとしてどちらが適切かというと後者である。前者のものはチェックリストとは言わない。
リスクに限らず、チェックリストと聞くと多くの人が面倒だとか、厄介だという印象を持つ。それは、チェックリストに記載されていることは実施しなくてはならないからだ。と同時に、チェックリストの作り方が網羅的だからだ。
続きを読む "【戦略ノート277】チェックリスト考" »
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◆成果か人か
ある本を読んで、マネジメントは深いとつくづく思った。マネジメントはジレンマの集まりだというのだ。
たとえば、プロジェクトという業務の性格上、プロジェクトマネジメントは成果に焦点をあて、人には焦点を当てない。権限委譲をしてメンバーの自律的管理に委ねる。確かに、WBSを作って、達成しなくてはならない中間成果物とそのスケジュールを明確にする(落とし込みは必ずしも個人ではなくチーム単位の場合もある)。そして、スケジュール通りに中間成果物が出てくるかどうかだけを問題にする。メンバーの勤怠や勤務態度、あるいは業務遂行方法についてはメンバーに任せるわけだ。
これには前提がある。プロジェクトのメンバーはスキルを持った自律した人材であり、管理をされなくても自律的に仕事ができるという前提である。しかし、これはSI事業のようにプロジェクトが常態化している場合には必ずしも成り立たない。
その場合には、成果に焦点を当てようとすると、それを遂行する人に注意を払わなくてはならない。つまり、メンバーが自分の担当する成果物をきちんと達成できるかどうかだけではなく、ある程度、そのやり方も見ておく必要がある。
ところが、プロジェクトマネジャー(リーダー)がその分野について必ずしも、不十分なスキルしか持たないメンバーより、知見を持っているかというとこれはまた別の話だ。そもそも、プロジェクトマネジメントが成果だけに焦点を当てるのは、そのプロジェクトチームにおいては、特定の問題に対しては特定のメンバーが最もスキルフルであるという前提に立つものだ。プロジェクトが専門家の集まりという所以である。
そのような状況で、人に注意を向けるにはどうすればよいか。よく見かけるのは、そのメンバーに指導をしてくれるスキルを持つ人に支援を請う、メンバーがスキルアップの動機を持つように仕向ける、といった行動である。
このようにプロジェクトマネジメントが難しいのは、2つの相反する活動(ジレンマ)を整合性を持って行わなくてはならないことだ。ここまでに述べてきた例では
成果に焦点を当てるために、人に焦点を当てなくてはならない
というジレンマである。
続きを読む "【戦略ノート276】プロジェクトマネジャーのジレンマ" »
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◆ビーイングとビカミング
ものごとの捉え方には、固定的、かつ静態的なビーイング(being)と、流動的、かつ動態的なビカミングがあるというのは、知識創造で著名な経営学者・野中郁次郎先生の説である。
たとえば、昨年大ブレークしたノンアルコールビールがある。もともとあった微アルコールビールは、車を運転している人、お酒がダメな人が、ビールで乾杯するときに飲む商品だった。市場の設定としては、ビーイングな設定をされていたし、そのようなマーケティングしかされなかった。実際に見かけるのはドライブインとか、飲み屋だった。
ところが、大ヒットしたキリンフリーでは、ユーザが用途をどんどん拡大していった。一度飲んだ人が飲む場面を考える。非常に印象的だったのは、高速のサービスエリアにビバレッジとしておいてあったこと。これまでは本当はビールを飲みたいけど、自動車なのでノンアルコールビールだったのが、ドライブのときの飲み物になってしまったのだ。このように経験や環境変化でユーザ自身がどんどん変わっていく。これがビカミングである。
続きを読む "【戦略ノート275】ビーイングのプロジェクトとビカミングのプロジェクト" »
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