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プロジェクトは有期である。ものごとの先送りはダメ。プロアクティブに取り組みなさい
プロジェクトマネジメントの教科書にもこのようなことが書いてある。できているかどうかは別にして、いまや、常識になっているといってもよいだろう。さらには、
分からないこと、決まらないことがあれば、仮説を作って進めていきなさい。
といったことを書いている本も少なくない。
昨日のPM養成マガジン戦略ノートに「プロジェクトにおける投機と延期」について書いた。この視点でいえば、プロジェクトマネジメントはできるだけ投機的にやりなさいということになる。これは本当に正しいのだろうか?これがこの記事のテーマ。
ただし、裏記事。表記事は、来週の戦略ノートで書く。
プロジェクトマネジメントには2つの顔(視点)がある。ひとつはガバナンスマネジメントであり、もうひとつはチームマネジメントである。
プロジェクトマネジメントは投機的であるべきだというのは、ガバナンスマネジメントの視点から発想である。ガバナンスマネジメントを中心にプロジェクトマネジメントを捉えると、アカウンタビリティの実行がもっとも重要になる。
アカウンタビリティは事後報告では達成できない。アカウンタビリティの実行は手が打てるうちに報告する場合にはじめて意味を持つ。従って、報告も含めて、すべてのプロジェクトマネジメントアクティビティをプロアクティブに実行することが非常に重要になる。
プロジェクトは有期である。ものごとの先送りはダメ。プロアクティブに取り組みなさい
つまり、これは、ガバナンスマネジメントを前提にしたものである。また、仮説は、リスクとして管理できるので、
分からないこと、決まらないことがあれば、仮説を作って進めていきなさい。
という話になる。
しかし、チームマネジメントの視点からいえば、延期が正しい選択であることは十分に考えられる。その典型的なケースが、戦略ノートで書いている顧客のニーズを中心にプロジェクトを進めていく場合である。この場合には、延期戦略をとり、段階的な詳細化を行っていくことが望ましい。
「段階的詳細化はプロジェクトマネジメントの基本じゃないか」と思われた方も多いだろう。段階的詳細化というのは、投機戦略の苦肉の策である。しかし、ここで言いたいのは、延期戦略としての段階的詳細化、つまり、詳細化を意図的に遅らせるというプロジェクトマネジメントである。
一般的な段階的詳細化は戦略的ではない。しかし、詳細化を意図的に遅らせることは戦略的である。
別の言い方をすると、決めないことにより、スコープに対する自由度が上がる。これがプロジェクトにおける延期の意味である。
ガバナンスを重視するか、チームを重視するかによって、延期戦略の是非は変わるのだ。
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