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PMBOKを知ると
計画は常に守られるべき
という思ってしまうが、これは錯覚である。計画が常に正しいとは限らない。ゆえに、正しい行動をするためには時として計画を無視する必要がある。
この錯覚は根が深い。一つは計画という言霊の問題だ。内部統制とか、コンプライアンスとかいうよりも、言霊の方が強烈だと思う。計画とか、ルールとかいうと、守らなくてはならないものという言霊ができてしまっている。
もう一つは、少なくともプロジェクトにおいては、計画は目安に過ぎない。PMBOKはここの扱い方がよくできていて、段階的詳細化により、計画は可能になった時点で行えばよいとしている。そして、さらに、「リスク計画」なる計画を持ち込み、計画に対して予想外の状況も「計画をしておけ」と言っている。そして、段階的詳細化にしろ、リスクマネジメントにしろ、変更管理をきちんとして、常に、計画と行動を合わせるべきだといっている。
これで完璧なのように思えるかもしれないが、それは錯覚だ。PMBOKは計画は段階的詳細化も含めて常に作れるという前提に立っている。しかし現実にはリスク計画など、完璧なものが作れることはないだろう。
PMBOKではここに組織成熟度なるものを持ち込んできて、組織としてリスクマネジメントに対する知見が蓄積されていくことにより、完璧なリスク計画が作れると言っているが、これはレトリックである。完璧な計画というのがありうるとすれば、確かにそうなのだが、完璧な計画などあり得ないという考え方もある。その前提に立つとPMBOKのロジックは崩れ去る。
現実には完璧な計画などあり得ない。
それゆえに、計画の実行が大切になってくる。つまり、計画の実行の際に、一人一人のメンバーが計画にないことまでやっていかないとプロジェクト成功はおぼつかない。
このためにはメンバーのスキルやマインドが大切になってくる。これがチームビルディングの議論であり、また、コミュニケーションやヒューマンスキルの議論である。
また、リスク計画が完璧ではないとすれば、計画を無視する必要も出てくる。その時の状況を想定内だと言えなくなるために、担当者が独自の判断を迫られるのだ。
このように議論していくと難しいのだが、もっと単純にいえば、以下の命題に対して、どういう答えができるかということだ。
計画通りにやっていて、もし、結果が好ましくない場合には、誰の責任か
計画を作るというのは、責任を明確にするということに他ならない。どうも、あまり、細かな計画を作りたがらない背景には責任を明確にしたがらない文化が見え隠れするというのは考えすぎだろうか?
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