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プロジェクトの運用においてチームのマネジメントに対する関心が高まってきている。チームのパフォーマンスには2つの側面がある。ひとつは創造性であり、もう一つが生産性である。
創造性は「3人集まれば文殊の知恵」を実現することだ。知的生産性だと言ってもよい。
いろいろなアイディアが出てきて、1人では思いつかないような問題解決ができたり、素晴らしい商品アイディアが出てきたりする。これはファシリテーションをうまく行えば、確実に実現できる。
ところがチームはよい話だけではない。プロジェクトの中でも、設計作業や開発作業のような実務的な仕事をチームで行うと必ず、生産性が下がる。つまり、2人でやって2人分の仕事ができることは珍しい。せいぜい、1.5人分だろう。人数が増えれば増えるほど、パフォーマンスの低下は大きくなる。
よく、チームは2人で3人以上の仕事をするというが、これはこの2つがうまくいったときの状態を指している。つまり、創造性を高め、かつ、生産性を落とさない状態がチームなのだ。
チームが難しいのは、この2つには本質的なトレードオフがあることだ。
創造性を高めるにはできるだけ、自由に活動させる方がよい。しかし、あまり自由にさせると生産性が極端に低くなる。かつ、ITのような顧客ビジネスのプロジェクトではこれに加えて、顧客への対応というもう一つのトレードオフが出てくることが多い。
このトレードオフを最適化するのがチームマネジメントだと言える。現実を見ていると、これらに優先順位を付けてチームを動かしていることが多い。たとえば、ソフトウエア開発のプロジェクトでは創造性を高めることを重視し、生産性を犠牲にしているケースが多い。また、同じITでもSIプロジェクトでは生産性を重視し、創造性を犠牲にしているケースが多い。このようなトレードオフがトータルのパフォーマンスを高めるからだ。
しかし、これではマネジメントしているとはいえない。
どうすればよいか?創造性の向上によって実行力をカバーしていくこと、あるいは、逆に生産性の向上の中から創造的なコラボレーションを生み出していくことができて初めてチームのマネジメントだと言える。
プロジェクトマネジメントでは、WBSやOBSによって分担をして仕事を進めていく。これはチームの生産性を落とさないためだ。チームへの第一歩は、OBSで決まった分担を前提にして、それを超えた行動をすることだ。WBSをいくら完璧に作ってもモレはあるものだし、突発的なできごともある。その中で、メンバーが自律的に判断をして、そのような事態に対処していけるようにすることである。
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