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「夢をかなえる象」の勢いがとまらない。テレビドラマ化されただけではなく、ドラマ化されるとまた、売れるという好循環モードに突入の様子。象という動物は頭のよい動物なのだろう。
さて、象でも違った話。サーカスの象の調教方法をご存知だろうか?小象の時分から、杭につないでおく。小象なので、杭を抜いて脱出しようとしても力不足でできない。象は成長し、成人象になる。当然、杭など訳もなく引き抜くことができる。ところが、杭から逃れることはできないという思い込みがあって逃げることはなく、おとなしい象になるという話。
これは、本で読んだ情報なので、真偽は分からない。
もうひとつ、同じような逸話がある。同じく小象を鎖で杭につないでおく。しばらくつないで置くと、鎖をはずしても、つながれていたときに動ける範囲でしか動かないという話がある。これはある人からずっと前に聞いた話。聞いたときに、犬はずっとつないでおいても、鎖をはずしたら逃げるといったら、知能が高いほど、このような思い込みは激しいというオチがついた(笑)。なるほど、人間がもっとも高いわけだ。
信じていかなったのだが、最近、この話を本でよんだ。この本。
「会社を変える 不合理のマネジメント―1.5流から超一流への発想転換」
話の真偽はともかく、サーカスの象の話も、後の話もたとえ話としては鋭いところをついている。
組織における常識というのは厄介である。問題が起こったときに、常識の枠にとらわれていると解決できないことが多い。一方で、問題解決方法に対する承認を得るためには、常識から大きく逸脱することは望ましくない。
多くのマネジャーはこのジレンマに悩み、「中途半端」な解決策を実施し、痛い目にあう。そして、マネジャーになって2~3年すると常識の範囲で考えることの重要性を知る。
こうなると、マネジャーの問題解決行動は変容する。問題が発生したときに、問題を何とか常識の範囲で解決できるようにすることを考えるのだ。スケジュールが遅れると、納期を延ばすなど。つまり、問題解決としては、「ネゴシエーション」が中心になってくる。昨今、ネゴシエーションが注目されているのは、常識の範囲で解決できない問題が増えてきたからである。これも問題を解決する方法のひとつであるので、悪いわけではない。
ただし、常識は組織によって異なるという落とし穴がある。
日本でも先進的なマネジメントをしていると思われている企業の情報システム部門の人がこんなことを言っていた。「日本のベンダーさんとはスピード感が合わず、結果として、入札をしてもらえないことが多いので、結果として海外ベンダーに頼んでいる」という。つまり、この会社とベンダーは常識が違うのだ。最近はリスクマネジメントで、この傾向に拍車がかかっていると思われる。これも企業経営のひとつのあり方である。
この問題は結構深刻な問題である。自分たちの常識が他にも通用するというのは、横並びの社会の話であって、競争をしていると通用しない。この点について認識してやっているのであればよいが、もし、違うとすれば上の事例が例外的なものでなるなる日は遠くない。
昨今、情報産業ではガラパゴス化が話題になっている。製造業全般にそうだという話もある。
宮崎 智彦「ガラパゴス化する日本の製造業」、東洋経済新報社(2008)
日本のプロジェクトマネジメントもガラパゴス化しないように、変革していく時期を迎えていることは間違いない。
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