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◆戦略アラインメントのゴール
前回は戦略アラインメントの視点について説明をした。今回は、もう少し踏み込んで、戦略アラインメントで何を目指すかを説明しておく。
大きく考えると、戦略アラインメントの落とし処(ゴール)は以下の3つだと思われる。
(1)組織の成長を最大化する
(2)無駄をなくす
(3)シニアマネジャーの組織統制の強化をする
では、これをどのように実現していけばいいのか?それぞれについて考えて見よう。
◆「組織の成長を最大化する」方法
まず、(1)であるが、もっとも重要なポイントはリソースだろう。すべてのリソースを組織の目標達成、あるいは戦略にコミットできるような配置をすることだ。こう書いてしまうと当たり前のように思えるが、例えば、既存商品のトラブル対応で、プロジェクトが遅れてしまうということはどこの企業でも珍しいことではない。これでは、リソースが組織の目標達成に投入されているとは言い難い。
もう一つのポイントは、効率の問題である。「できるだけ速やかに」戦略ゴールを達成することが求められる。これも当たり前だが難しい。戦略ゴールに対して、複数のプロジェクトが実行される。すると、各プロジェクトにおいて、そのプロジェクトのスケジュール目標を達成することは最低条件であって、それ以上のものではない。つまり、プロジェクトではスケジュール目標があっても一分一秒でも早く終わるように「工夫」されるべきなのだ。これは「品質思考停止」をしていると絶対にできないことであり、また、これができるということは成熟度レベルでいえば最難易度である。
◆「無駄をなくす」方法
次に(2)に移ろう。まず、アクティビティレベルで、整合している必要がある。特にプロセスの整合が重要である。また、組織的整合も重要である。
次に、政治的なコンフリクトで無駄がでないようにする。この問題がもっとも大きいのが、リソースの取り合いだろう。また、この延長線上にあるのが、リソースの再配置による混乱である。一般的にリソースの新規投入は30%程度の生産性の減少をもたらすことが知られている。この数字を考えると、初期リソースを冗長にするという選択肢も考えられるべきだろう。
◆「シニアマネジャーの組織統制の強化をする」方法
最後は(3)だ。まず、定番ででてくるのがモニタリングである。モニタリングを強化することにより、シニアマネジャーの統制力を強化していく。また、モニタリングの背後にあるのは、これまで議論してきたようなゴールの構造化により、組織の各ヒエラルキーで適切なゴールのコントロールができることである。
また、もう一つ考えたいのはコミュニケーションである。コミュニケーションを活性化することによって、組織的な統制を強化していく。ある意味で、これがもっとも本質的なアラインメントの手段だと言えるのかもしれない。
※PM養成マガジンエグゼクティブ4号より
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