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◆コミュニケーションマネジメント1.0
218回でPM2.0宣言をした。今回は、PM2.0におけるコミュニケーションマネジメントについて考えて見たい。
プロジェクトマネジメントの問題点としてコミュニケーションの問題がよく取り上げられるが、特に問題意識が高いのは顧客をはじめとするプロダクトスコープに影響のあるステークホルダとのコミュニケーションである。重要だと捉えていればこそだろう。実際に、スコープマネジメントの問題はコミュニケーションの問題だと言ってもよい。コミュニケーションの質によって、スコープに対する目標達成のレベルが変わってくるし、それがプロジェクトの成否に関わってくる。このように顧客も含む現場の中でのコミュニケーションで、スコープを決めて行く。
この場合、上位組織とのコミュニケーションは与えられた目標の達成度の報告が基本になる。いわゆる進捗報告だ。そこでは、進捗が芳しくない場合の問題解決は話合われることがあるが、目標設定のイニシャティブは上位組織が持ち、その「妥当性」について話合われることはまずない。目標は妥当であり、進捗が芳しくないのは目標達
成の方法が適切ではないからだという前提で考える。この前提が崩れた場合は「トラブル」になる。
このコミュニケーションのマネジメントをPM1.0に擬えてコミュニケーションマネジメント1.0と呼ぶことにしよう。
これはあくまでも上位組織から目標が与えられた場合の話、つまりPM1.0におけるコミュニケーションマネジメントになる。
◆PM2.0は目標、目的を動かす
PM2.0は、プロジェクト憲章によって与えられた目的に対して目標をプロジェクトが設定する。場合によっては戦略を読み取り、目的そのものを設定していく。この場合には、スコープマネジメントに必要なコミュニケーションは変わってくる。プロジェクトはスコープのマネジメントにより動かすのではなく、目標や目的のマネジメントによって動かすことになる。
したがって、常に、目標や目的、あるいは戦略に関するコミュニケーションをしておく必要がある。PM1.0では顧客やステークホルダとスコープが妥当であるかどうかを確認しながら進め、ぶれていればスコープを調整していく。これと同じように、PM2.0では目標や目的が最適であるかどうかを上位組織とコミュニケーションにより確認しながら進め、最適でなければ調整をしなくてはならない。このPCDAサイクルがPM2.0とPMO1.0の違いである。
そしてこのPDCAサイクルを回るためのコミュニケーションを構成するのがコミュニケーションマネジメント2.0である。
◆コミュニケーションマネジメント2.0
言いかえると、コミュニケーションマネジメント2.0では、これまでレポートラインに過ぎなかった縦方向のコミュニケーションを本来の意味でのコミュニケーションに変える。ここでいう本来の意味でのコミュニケーションとは
コミュニケーションとは考え方、意見、情報を伝達しあい、心を通じ合わせるプロセスにより、相互に影響を与え、要求に応える活動
である。日本語で、調整とか、擦り合わせとか、取り纏めとか呼ぶ活動である。
PM1.0のコミュニケーションを横のコミュニケーションだとすれば、PM2.0のコミュニケーションは縦のコミュニケーションだということができる。
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