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まず、一冊の本を紹介しよう
MBAが会社を滅ぼす
http://people.weblogs.jp/books/2006/07/__3d22.html
オビにこうある。
業績不振の米国企業のエグゼクティブのMBA取得比率 90%
業績好調の米国企業のエグゼクティブのMBA取得比率 55%
この本の原題は、 MANAGERS NOT MBAs だ。
この数字を出した出版社の意図はよく分かる。まさに本書のタイトル。しかし、米国企業では半数以上のエグゼクティブがMBAの保有者であるという風にも読める。
それはさておき、この本、マイケル・ポーターと並ぶマネジメント論のグル ヘンリー・ミンツバーグが書いただけあって、マネジャーを育成することの難しさを的確に指摘し、それに対する彼独自の大胆な提案をしている。いろいろと共感することはあるが、一つあげると、マネジャーの教育はマネジャー経験があり、問題意識を持つものを対象にしないと意味がないと述べている。プロジェクトマネジャーもそうだ。
日本の教育はここを間違えているのではないだろうか?まず、問題意識がない。「まず、プロジェクトを失敗してはならない」という問題意識すらも怪しい。これは、プロジェクトマネジメントのガバナンスを明確にせず、集団牽引体制を取っているのが原因。
組織的にプロジェクトマネジメントをするという発想は悪くないと思うが、組織でプロジェクトマネジメントを行うことと、ガバナンスを曖昧にしておくというのは別の次元の話。いくら集団マネジメントをしていても、プロジェクトに関わるメンバーの一人ひとりに自分の責任と義務を聞いて具体的な答えが出てこないようであれば、話にならない。
だから、プロジェクトマネジャーは自分自身に問題意識を持たない。組織の方に目が行くので、仕組みや制度の問題指摘や改善に終始する。
そんなはずはない。どう少なめに見ても、プロジェクトマネジメントの失敗原因の80%はプロジェクトマネジャーの個人の資質にある。組織的な取り組みをした場合には、求められるリーダーシップの質が変わってくるので、この数字は90%とかに上がってくるだろう。
だからこそ、経験を通して、自分の足らないところを見つけ、育成プログラムの助けを借りながら開発していくことが必要。
このサイクルを作ることが、PMIの掲げるプロフェッショナルプロジェクトマネジャーのエシックスであるし、ドラッカーをはじめ、多くのプロフェッショナル論で真っ先に語られていることである。
このサイクルができなければ、
「 PROJECT MANAGERS NOT PMPs 」
といわれるようになってもおかしくない。現に、事例としては少ないが、PMBOKの適用の不適切さが原因でプロジェクトそのものを失敗させて事例を2~3知っている。
日本企業の課題は、組織的なプロジェクトマネジメントと個人のプロフェッショナリズムの滋養を如何に両立させていくかだ。
これがミンツバーグのこの本、全体の問題指摘でもある。
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