◆ダムを造ることが目的なら、プロジェクトを中止する理由はない
ダム建設中止の是非が大きな問題になってきた。住民は、今の「中止ありき」で協議をしていくという方法に激しく反発している。
ダムのプロジェクトではダムを造ること自体を目的にしているわけではない。たとえば、熊本の川辺川の場合だと、ダムを造る目的には、治水、水源(かんがい)、発電の3つの目的があるとされる。時代が経てば、状況が変わり、目的が消失することがある。当たり前の話だ。3つある目的のうちの治水だけが残っている。
当然、投資対効果が変わってくるし、目的が変わるということはプロジェクトとしては仕切り直しをすることを意味する。しかし、仕切り直しをすることなく、40年継続された
この問題の構図ははっきりしている。戦略的にプロジェクトを進めようとせず、「実行ありき」なのだ。目的というのはある意味でどうでもいいのだ。ある意味というのは、必要ないというとではない。「実行ありき」で、目的は実行するための「理由」に過ぎないということだ。従って目的が変われば、仕切り直しするという理由はない。
つまり結果としてか、確信犯かは別にして、ダムを建設すること自体が目的だったということになる。
よく走り出したプロジェクトは中止できないというが、目的が「ダムを造ること」だとすれば、中止する理由などないわけである。この点をよく押さえておいてほしい。
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