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自身が権限を持たないので、できることしかできない
というプロマネがたくさんいる。これはある意味で真実だ。これから内部統制も厳しくなっていく中で、ここをはずすことはできない。
ただ、ひとつ考えてほしいことがある。
みなさんは、部下に任せるということは普通にやっていると思う。では
なぜ、上司やステークホルダに任せないのか?
部下に任せることと、上司に任せることの間には2つの決定的な違いがある。ひとつは、部下に任せる多くのことはプロマネ自身が実行することもできる。しかし、上司に任せることの多くは上司にしかできないことだ。
上司にしかできない理由は、まれに業務遂行能力、スキルなどに依存するが、ほとんどのケースは権限の問題である。つまり、業務そのものはできるのに、権限がないからできない。これがプロマネが権限にこだわるひとつの理由にもなっている。
もう一つの違いは、部下には程度の差こそあれば、命令、あるいは指示、あるいは指導ができる。しかし、上に任せる場合にはこれはできない。どのようにやるかは上司の判断に任せる必要があるし、結果の是非についてもある程度上司に任せざるを得ない。
整理すると、上司に任せる場合には
(1)自身はできないことを任せる
(2)判断そのものを任せる
の2つが求められる。
こうなってくると、「お山の大将」的なリーダーは到底、任せようなどとは思わない。結果、何をするかといえば
(1)できる範囲でやる
(2)あなたの責任でやってくれと投げ出す
である。いずれも箱からでないでできることだ。これでは話にならない。
では、どうすればよいか?答えは簡単だ。
プロマネ(自身)が考えているとおりに、上司が「自発的に」動くようにする
ことだ。これには2つの問題がある。ひとつは、上司にそのように動こうと思わせるにはどうしたらよいかだ。もう一つは、上司が考えたことが本当にできるかどうかだ。
後者についてはある意味で、メンバーに任せるよりは簡単だ。プロマネの上司といえばおおよそ課長級で、課長級となるとそれなりに能力がないとなれないからだ。
ここで、プロマネの中には、上司の「無能さ」を批判する人も少なくないが、フェアな立場できいていると、だいたい、前者がきちんとできていない。したがって、思った通りには動いてくれず、その不満を言っている人が多い(もちろん、中にはピーターの法則を絵に描いたようなマネジャーもいるけど)。
ということで、上司に任せるための問題は、
上司をどのように動かすか
にかかっている。このときに、正論を言えば動く(べきだ)と思っているようでは、永久に動かすことはできないだろう。つまり、説得などの何の役にも立たない。上司には上司のキャリアがある。上司だってあなたと心中したいとは思っていないのだ。
そこで出てくるキーワードが「影響力」である。影響力が発揮できれば、上司は動く。もちろん、上司以外のステークホルダにもこれまで述べてきたことはすべて当てはまる。
上司に任せるために影響力を身につけよう!これも一種にリーダーシップである。
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