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サムスンでは、目標や方針、戦略、計画を作る際に、2つのことを要求されるそうである。ひとつは動詞で表現すること、二つ目は具体的で測定可能な表現をすること。
プロジェクトの計画を見ていると、動詞になっていない計画が実に多い。独立して仕事を始めてしばらくしたころに、一緒に仕事をした日系の米国人から、「日本語は体言止めが多いから行動力がないのではないか」と指摘されたことがある。そのときには「こいつ、喧嘩売ってんのか」と思ったが、一緒に仕事をしているうちにいっていることが良く分かった。彼らの計画の基本は、名詞+動詞である。日本人はよく主語をはっきりせずに会話するとよく言われるが、主語がはっきりしない以上に、体言止めをすることが多い。
たとえば、「調整」という言葉がある。コミュニケーション計画の中に、「顧客と調整」と平気で書く。日本人「文学」では、調整というと、5W1Hがすべて含まれている。「今から5日以内に、仕様を確定するために、客先に出向いて、この仕様について話し合いを行い、お互いの意見をすべて出し合い、利害の一致する方法を見つけることによって結論を出す」といった意味(コンテクスト)を含意しているのだ。
日本人はここまで書くのは野暮と考える。そこまで考えて当たり前なのだ。ところが実際には、この含意をどこまで読み取って行動するかは人によって違うし、その人が属する組織へのコミットメントの深さによって異なる。つまり、行動できているように錯覚しているが、実際には行動できていないのだ。これは今に始まったことではなく、昔からそうだったのではないかと思う。きちんと評価されていなかっただけだ。
計画とは動詞で書くものである。
要件定義
設計
実装
試験
これでは計画とはいえない。ワークパッケージのラベルに過ぎない。それぞれを具体的にどのように行うかを書く、つまり、動詞で書くのが計画である。もっといえば、ワークパッケージとは本来、動詞のパッケージである。
プロジェクトマネジャーからすれば動詞化するのは、メンバーだという言い分もあると思う。本当にそうだろうか?専門知識であればある程度そうだと思う。それは専門用語として名詞に動詞の含意があるからだ。しかし、一般用語であれば正しくない。上の調整というのはその典型的な例である。
サムソンの動詞化組織にならって、動詞化プロジェクトを目指そう!
大変当たり前な指摘を受け、困惑しています。WBSを学んだときは全て動詞型でした。しかし、実際のプロジェクト、特に大手SIerでの実践では、ここで言う体言止めとなっているし、それで良いと思っていました。
WBSをワークパッケージ(我々の基準では5MD以下の作業タスク)までブレークダウンすることが求められます。よって、タスク名自体が成果物名となり、その成果物を作成する(作成ルール等のガイドがある)、が暗黙の作業内容になっています。その成果物名の下位に作成すべき対象(例えば機能名、画面名、PGID/名)を羅列します。これが5MD以下の作業で個人にアサインされます。
さらに、時には課題1件毎を全てWBSのタスクとして定義(課題名で)することもあります。(稀ですが)
このように体言止めが氾濫していますし、これが現状なんですね。
良いか、悪いか、は別にしてプロジェクト内での意思疎通は充分図れていると思っています。でも稀にお客様確認(了解)、事前PMレビューが必要等の場合にそれが漏れることがありますが、進捗でフォロー(指摘)される仕組みとなっていますね。
投稿情報: さとさん | 2008-11-19 09:54
丁寧なコメントありがとうございます。大手のSI企業さんの研修とかでこんな発言すると、ボロクソにいわれそうな感じですね。
実はこの記事を書くきっかけになったのは、あるメーカーさんでの出来事だったのですが、読み直してみるとSI企業向けに書いたものだとも読めますね。
このこと自体が体言止めの本質だといえるんじゃないかと思います。もう少し、形容詞や形容動詞にも気を配る必要がありそうですね。
投稿情報: 家主 | 2008-11-19 15:06