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スケジュールが遅れている
この問題に対するもっとも表層的な解決方法は、「要員を投入し、遅れを挽回すること」である。しかし、経験的にそれでは問題解決にならず、「真の原因」を考えなくてはだめだと言われるようになっている。いわゆる問題解決である。
「真の原因」といういう言葉はなんとなく説得力のある言葉で、かつ、WHYを5回繰り返せといった経験的な手法があわせられているので、多くの人がそうだ!と思っている。
では、なぜ、5回なのか?真の原因とそうでない原因はどこにあるのか?
と改めて尋ねられるとどうだろうか?
多くの人は、「あれ」と思うのではないか?実は、これは相当難しい話だ。
ソフトウエア開発では、フレデリック・ブルックスが
でもっとも有名な法則として
「その2:遅延プロジェクトに人員を投入すると、さらに遅れる」
という法則をご存じの方も多いと思うが、なぜかと言われると、この本を読んでいない人が説明できる人は多くないだろう。おそらく、5回のWHYを繰り返してもこの答えは見つからない。
では、真の原因に到達するにはどうすればよいか?
問題の構造をみて判断することである。たとえば、5回WHYを繰り返し、
スケジュールが遅れている
←アクティビティにおいて、見積もり工数以上の工数がかかっている
←作業担当者の生産性が低い
←残業が続いており、作業担当者の疲労がひどい
←作業担当者のスキルが低い
となったときに、根本的な問題は「作業担当者のスキルが低い」ことなのだが、プロジェクトの中で注目したい問題は、実はこの問題ではないことが多い。むしろ、その前段の「残業が続いており、作業担当者の疲労がひどい」である。
つまり、真の原因というのは根本的な原因ではなく、その問題を引き起こしている「本質的な問題」であり、これは、問題の構造を考えなくてはわからない。
上の例だと、確かに、
スキルが低いので残業が多い
という因果関係はあるのだが、それ以上に、全体構造を見ると
疲労で下がる生産性とスキル不足で下がる生産性を比べると、疲労の方が大きい
という関係が強い。従って、本質的な問題は「残業が続いており、作業担当者の疲労がひどい」ということができる。
言い換えると、本質的な問題とは、その問題を解決することによって、画期的に状況が変わるような問題であるといえる。最近のはやり言葉でいえば、「レバレッジ」と呼ばれるものである。
このレバレッジをうまく探して、適切な対応をしていくための方法として「システム思考」がある。
今回から、短期連載として、「システム思考ミニ講座」をお届けする。
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