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些細なことにまできっちりと実行するという精神が高い業績に結びついている(加護野忠男、神戸大学経営学大学院教授)
【成分】
◆些事にこだわる
◆成果へのこだわりが、些事を軽視する
◆D評価のプロジェクトマネジャー氏の行動
◆プロセス遵守はルールを増やしてもできない~些事にこだわれ
【解説】
IT業界を見ていると、トヨタをはじめとする、現場の強い製造業に学んでいる企業が多いですが、仏作って魂入れずを感じさせる現場が多いことも事実です。形をまねるだけで、本質を理解しようとしない、あるいは、確信犯でやらないところもあるように見受けられます。日本の製造業の現場の本質は、些事にこだわることに他なりません。
大学を卒業して会社に入ったときに、くだらないと思ったことがたくさんありました。社是の唱和をはきはきとやれとか、ラジオ体操をきちんとやれとか、いろいろです。「洗脳」されているという感覚すらありました。実際にこのような企業の活動を洗脳だと言っている学者もいます。
ギデオン・クンダ(金井壽宏監訳、樫村志保訳)
「洗脳するマネジメント~企業文化を操作せよ」、日経BP社(2005)
その当時は理解していませんでしたが、会社の中には、文化を創るための手段がたくさんあります。中心にあるのは習慣化で、習慣化のための手段としてよく使われるのがラジオ体操とか、トイレ掃除とか。社是の唱和ももちろん、手段の一つです。
たとえば、京都に日本電産という会社があります。1973年の創業後、当時の製造業としては画期的な速さで上場し話題になりました。この会社では、創業当初、新入社員に1年間、素手でトイレの掃除をさせることで有名です。もちろん、清掃費をケチっているのではなく、これを徹底することによって、トイレを汚さなくなり、放っておいても工場や事務所の整理整頓が行き届くようになる。そして、徐々に見えるところだけではなく、見えないところにも気配りができるようになってくる。同社は3Q6Sという活動を提唱されています。3Qは、「Quality Worker(良い社員) 」「Quality Company(良い会社) 」「Quality Products (良い製品) 」です。この3つのQを実現するための具体的な手法が6Sで、整理・整頓・清潔・清掃・作法・躾です。この原点が、トイレを徹底的に磨き上げることにあったわけです。
まあ、トイレ掃除の経験はしたくても、もうできない時代だと思いますが、何か些細な一点を徹底的にやらせることによって、文化を創り、業績向上に結びつけていくことはいまでもできます。それは、短期的には業績にならないかもしれません。しかし、長期的には必ず、ハイパフォーマンスを生み出します。
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